4月号
この作品は、思い出の景色をバラの花びらを主に使って創作したものです。
私の押し花作品には、花を自然の色のままに乾燥させ、退色させない独自の技術を用いています。
2008年の初夏にプロバンス(南フランス)を旅した。
この辺りはゴッホやセザンヌの創作のゆかりの地なので、心が強く引かれる。
田園を車で走ると、美しい景色に魅了される。
特に麦畑の間の大地を染めるような花畑は圧巻だ。
タイミングが合えば、紫のラベンダーに黄色のヒマワリ、そして真っ赤に咲くコクリコを見ることができる。
コクリコはフランス語で、日本ではポピーとして知られている。
日本では真っ赤なポピーの畑を見かけることがないので、とても印象深く目に焼き付いている。
夕日に照らされた、燃えるような花・・・コクリコ。
この絵を見ると
あの時の思い出が蘇る
あの時の僕は ここにいる
5月号
テレビ番組の「プレバト」で押し花アート査定をした際に、紫吹淳さんの作品のお手本として制作しました。ルピナスの周りをパンジーで作った蝶が舞っています。空はアジサイの花です。
2018年に人気のテレビ番組「プレバト」の「押し花アート才能ランキング」に出演し、俳優の玉木宏さん、中谷美紀さん、紫吹淳さん、タレントの武井壮さん、園芸王子の三上真史さんの作品を“査定”しました。紫吹さんは元宝塚スターだけあり、華やかな花いっぱいの素敵な作品でしたが、押し花の配置が平面的で、取って付けたような葉の置き方が残念なため、評価は「凡人」!そこで私が、遠近感をテーマに背景や空を押し花で表現し、お手本作品を制作しました。
なお、そして才能ありの1位は園芸王子の三上さんでした。
努力しても夢は叶わないかもしれない
しかし努力した自信は
次の夢に大きく近づけてくれる
6月号
英国では「花には想いが宿る」と言われています。
人々は花に想いを託し、花束を贈りました。
そこから「花言葉」は生まれました。
結婚式のブーケには、祝福する人たちの想いが宿っているので、
挙式後にブーケを押し花フレームに加工することは意義深いことであり、
「幸せのお守り」になる訳です。
その押し花は変色しないように加工しますので、ブーケの押し花作品を見るたびに
色鮮やかに結婚式の思い出が蘇り、楽しくなることでしょう。
押し花アートは、花々との思い出を形にして残しているから、“思い出の窓”のようです。
この作品は、結婚式のブーケを「花のお守り」として押し花フレームにしたものです。
悲しかったから 大きな喜びを感じる
辛かったから 大きな幸せを感じる
寂しかったから 大きな愛を感じる
7月号
私たちの周りにはたくさんの植物があります。公園や散歩道、台所など探して見てください。
押し花を始めると、植物に興味が湧くようになり、その美しさに驚くことががしばしばあります。道端の草花が可愛く見え、価値観が変わりました。また、花をバラバラにしてみると、花びらやシベのひとつひとつの造形に魅了されます。この作品では、花びらの特徴を生かして鳥を作ってみました。このように花びらを使ったデザインを「花びらコラージュ」と名付け、いろいろな作品に挑戦しています。
木の部分には、刺繍が施されたカーテンの生地を使っています。蚤の市でこの端切れをで見つけた時、思わず衝動買いしてしいました。どこへ行くにも草花や押し花の材料を探していて、発見の楽しさを日々味わっています。
当たり前をなくせば
目に映る輝きに気づき
心ときめきます
8月号
桜の花が風に舞い、空に消え、雨になり、砂浜に漂ってくる・・・
こんなイメージで作った連作のひとつです。
水の循環を桜の花に例えて、水や自然の大切さと美しさを感じて
もらいたいと思い創作しました。
この作品を観て想像を膨らませてください。
「この桜は何処から来たんだろう・・・」と考えるだけで、
心が海を漂い始めます。
作品から感じるイメージを膨らませ、想像して観ることが、
美術鑑賞のひとつの楽しみ方です。
芸術とは観る人の心を揺さぶるものだと思います。
私は美しい花々の力を借りて、「心に伝わる作品」を目指し創作していますが、
なかなか納得のいく作品ができないものです。
花はなにも語らないけど
花は心に語りかけてくる
まるで心の鏡のように
9月号
花びらが薄く、押し花にすると透けてしまうマロウの花。
花びら一枚一枚の筋模様がきれいで、その透けた感じの模様を生かしたいと思い、織物のようなデザインの
作品を創りしました。
沖縄では花織(はなうい)と呼ばれる織物がありますが、押し花での花織ができたらいいですね。
以前に、押し花のテキスタイルデザインを布にプリントしてシャツやポーチなどを作ったことがあります。
押し花柄の布はとても人気で、「布を譲って欲しい」と何人もの女性に言われたことがあります。
押し花は世界に一つだけの造形美です。オリジナルのものを身につけられるのは嬉しいですね。
ちょっとしたオシャレには、押し花のシールを作り、襟元にワインポイントで貼ってもいいですよ。
春咲く花に命の源を感じ
夏咲く花に命の力を感じ
秋咲く花に命の美しさを感じ
冬咲く花に命のぬくもりを感じる
10月号
花を自然の色のまま乾燥させ、退色を防ぐ技術を開発し、掲げた目標は「押し花アートを日本の文化として
世界に広げ」、「芸術に昇華させる」こと。
そこで1997年、最も規模が大きく、歴史と権威があるアメリカのフィラデルフィアフラワーショーのコンテストに参加しました。
当時の世界の押し花より、花の美しさでは自分が圧等的に優位だと、意気揚々と5部門で挑戦しましたが、結果は悔しいものでした。
「押し花が鮮やかすぎて気持ち悪い」、敢えて使った虫喰いの葉は「綺麗な葉ではないから減点」など、突然
現れた日本からの新人に、審査員も評価しにくかったと思います。
そんな中でも、観光ポスター部門1位のブルーリボン賞に選ばれた作品が、「ノイシュバンシュタイン城」
でした。
さらに翌年は、全体の最高賞のグランプリを獲得できました。
信じること
願うこと
努力すること
感謝すること
夢を叶えるために
必要なこと
11月号
1997年秋、アメリカのバーリントンバーモントに行って時、メイプルの森に行きました。単に赤い葉と思い拾い上げた葉をよく見ると、赤、黄色、緑、黒など様々な色が混ざり、信じられない美しさでした。
しかも落ち葉のそれぞれが異なる美しさでした。その時、この美しさは絵で描こうとしても描けないし、まさに「神様が創った芸術」と感じ、それからメイプルの葉は私の創作の原点と思うようになりました。
そして、一枚の葉が人生と同じように感じるようになりました。
押し花作品が、一枚の葉の恩恵を考える切っ掛けになればと思います。
春風と共に芽吹いた若葉に「生きる力」を感じ、勇気と元気をもらいます。
葉は光合成をして二酸化炭素を酸素に変えてくれます。
葉は大きく空に広がり、傘となり、雨や日差しから守ってくれます。
水を蓄え、大地を守り、生物を育みます。
北風と共に、木は冬眠の準備を始めます。
役割を終えた葉は、美しく色づき、腐葉土になり、次の命に繋ぎます。
木の葉は
最後に色づくと
光に包まれ
天を舞い
土の中に消えていく
12月号
世界の子供達に押し花のクリスマスカードを送るために、フィンランドにあるサンタクロースをサポートする
養成学校に行ったことがあります。トナカイの乗り方や子供との接し方などをいろいろ学びましたが、
一番印象に残ったのは「無償の贈与」という考え方です。サンタクロースは対価を考えず、自分を隠し、
贈与される喜びと感謝の心を子供達に教えているのだと思いました。
クリスマスプレゼントを贈る時は、もっと考え、想いを託したいですね。
人がこの地球で生きているのは奇跡です。太陽や大地、大気や生物などの恩恵で暮らしています。
神道の「八百万の神」にも通じるようですが、私は、人や自然の営みに感謝をする日がクリスマスのように
思います。この絵は、「無償の贈与」と奇跡のような地球をイメージして創作したものです。
地球という奇跡の星
今を生きている奇跡
あなたと出会った奇跡
1月号
栃木県の茂木町に、「花の山」という名の里山があります。
そこは、私が散策し植物採集をするところです。
この山は、もともと園芸会社の樹木の育成地だったので、桜やハナミズキ、紅葉などたくさんの種類の木々が
ありました。
しかし、やがて樹木は使われなくなり、山が荒れてしまいました。
その話を聞き、観光と創作の森として蘇らせようと思ったことから、「花の山」がスタートしました。
ユキヤナギやレンギョウ、アジサイなど多くの花木を植え、早春から晩秋まで植物を満喫できるようになり
ました。
自然溢れる里山には3キロメートルの散策コースがあり、のんびり楽しめるところです。
この作品のユキヤナギは、「花の山」で採集したものです。
白い花は、まさに乱れ降る雪の様で、そのイメージで創作しました。
森の中の無数の葉が美しく見えてくる
押し花を始めて気づいたこと
2月号
愛を表現するハート形。
ハートの形は、心臓の形が由来だという説がありますが、植物界にもたくさんのハート形があります。
葉っぱでは、カツラやマルバノキ、カタバミなどいろいろあり、花びらもよく見ると、サクラやバラもハート形
のものがあります。
私が特におすすめするのは、フウセンカズラのタネです。
風船のように膨らんだ実の中に種があり、実が枯れた後にタネを取り出すと、黒いまん丸のタネに白いハート型
が付いています。
とても可愛らしいタネで、そこからまた芽が出るのですから夢が膨らみます。
このタネをプレゼントするのもおすすめです。
文字ではないのに、誰もが「愛」を感じる可愛らしいシンボルマークです。
花屋さんや公園などでハートを探してみませんか?
見つけたときに幸せな気持ちになりますよ。
笑顔が幸せのかたち
微笑みが愛のかたち
3月号
幸せな人生を送るために、勉強し、進学し、就職します。
就職がゴールではありません。結婚がゴールでもありません。
長い人生、「夢」という目標はいつでも変えられます。
一度だけの人生です。いろいろな夢にチャレンジしてください。
あなたの「幸せな人生」とは何ですか?
私は、小さな喜びの積み重ねが「人生の幸せ」だと思います。
お金も恋人も、小さな喜びのために必要な物です。
幸せになるためには、挫折は試練と考え、経験を財産と考えることです。
どんな仕事に就いても、やりがいを感じ、喜びを感じることです。
常に前向きな気持ちで、自分の頭で考えることです。
大切なのは「知恵」です。
そのためには、今、自分の得意なことや好きなことに情熱を注ぎ、努力してください。
努力は自信に変わり、たくましい心に育ちます。ONLY ONEを目指しましょう。
人生にはいろいろな転機や出会いがあります。
社会経験のない若者が、挫折したり、夢や目標が変わることは当たり前です。
その時に対応できる知恵と体力をつける事も、学生生活の役割です。
知識は学ぶものですが、知恵は自分で考えることから生まれます。
「知恵」を意識する事が「幸せ」に繋がると思います。
大切な仲間を作り、人生を楽しんでください。
幸せになるために - For You -
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のり (木曜日, 04 3月 2021 11:56)
すばらしいです。色が退色しないのは不思議です。ジグソ-のような花びらは夢をつむぐ素材、有難うございました。
平木美紀子 (土曜日, 06 3月 2021 18:56)
どの作品も素敵な世界が在り花びらの生かし方に、芸術を感じます。この企画ありがとうございました!
島垣和花 (日曜日, 07 3月 2021 00:19)
いつか夢で見たような風景が色鮮やかな押し花の絵になり不思議な気持ちになりました。それに合わせた文章も杉野さんが新しいことに挑戦する覚悟や努力が記されていて、特に最後の部分が好きで書き留めていました。
多賀谷勝子 (水曜日, 10 3月 2021 09:39)
一面のポピー、感動しました。マミークランの小さい1ページがそれはそれは広ーいポピー畑にいるような感覚、とても幸せな気持ちになりました。毎号が楽しみでした。
文の最後の詩と押し花の作品が重なって最高です。